受診される患者の皆様へ

取り扱っている主な疾患

当科では、糖尿病などの糖代謝疾患のほか、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患、下垂体腫瘍などの下垂体疾患、原発性アルドステロン症、クッシング症候群などの副腎疾患、副甲状腺疾患や骨軟化症などの骨代謝疾患の他、肥満症、脂質異常症、高尿酸血症など幅広い疾患を診療しています。いずれの疾患も合併症・併発症を引きおこす可能性が高く、早期からの治療が求められます。当科においても検査法・治療薬は日々進歩しており、より確かな治療を心がけています。

糖尿病とは

糖尿病とは、何らかの原因でインスリンのはたらきが悪くなり、血液中の糖分が多くなる高血糖の状態がつづく病気といえます。 私たちが食事を摂ると、膵臓からインスリンが分泌されて血中に入ってきた栄養を肝臓、脂肪、筋肉などにとりこまれます。つまり、血液中の糖分はインスリンのはたらきで体の細胞の中にとりいれられることで血糖値が下がることになります
体の細胞を栄養の倉庫に例えると、@栄養を運ぶ係員であるインスリンが減ると栄養が運び込まれにくくなります。Aまた、食事のとりすぎなどで倉庫が一杯になっても栄養が運び込まれにくくなります。B倉庫に入れない分の栄養が血液中にたまっているのが高血糖の状態です。
インスリンのはたらきが悪くなることは「インスリン抵抗性」といい、インスリン分泌の程度とのバランスによって血糖値の調節がなされています。 インスリン分泌が少ないと抵抗性が小さくても血糖値は高くなり、インスリン分泌が正常でも抵抗性が大きくなればやはり血糖値が高くなります。
高血糖の状態がつづくと体のさまざまなところに影響が出てしまいます。これを糖尿病合併症といいます。 主な糖尿病合併症としては網膜症(目の異常)、腎症(腎臓のはたらきの異常)、神経障害(神経の異常)、大血管障害(動脈硬化が進んで血流が悪くなる状態)があります。 糖尿病治療の目的はこれらの合併症を予防することにあります。そのためには血糖値を適切に管理すること、高血圧や脂質異常を改善させることが有効とされています。

糖尿病教育入院について

連続皮下グルコースモニタリング

当科ではこれまでにも糖尿病の血糖管理のための自己血糖測定器に加えて連続グルコースモニタリング(CGM)を使用してきましたが、新たな世代の測定器「フラッシュグルコースモニタリングシステム(FGM)」を導入し、活用を積極的に進めています。 この測定器により、14日間の血糖値を連続的な測定ができ、読み取り機をかざすことでリアルタイムに血糖値の確認ができます。これにより指先穿刺による血糖測定のみでは十分評価できなかった食後高血糖、夜間を含めた低血糖の有無を知ることができます。

連続皮下グルコースモニタリングがよい適応と考えられる例

  • 1型糖尿病
  • インスリン治療中の2型糖尿病で
  • インスリン初期治療
  • インスリン療法で血糖コントロール不良または変動が不安定
  • 治療変更(注射量、併用薬の増減など)の後の評価をする場合
  • 生活が不規則であったり食事や運動の影響を把握する場合
  • 低血糖対策の必要度が高い場合


日本糖尿病学会「フラッシュグルコースモニタリング(FGM)システム:FreeStyle Libre に関する見解」より改変

インスリンポンプ療法(CSII)/SAP療法について

持続皮下インスリン注入療法(CSII)は、小型の機器を使って持続的にインスリンを皮下注入して血糖コントロールを行う治療法です。この機器をインスリンポンプと言い、皮下に留置したカニューレを通して自動的にインスリンが注入されます。一般的なペン型インスリンに比べて食事の内容や時間帯にあわせたきめ細かい血糖管理が可能です。
最近では持続的な血糖値測定(CGM)機能を搭載したインスリンポンプ療法が登場し、この治療法SAP(Sensor Augmented Insulin Pump)療法といいます。インスリンポンプとCGMを同時に装着し連続的な血糖値を画面に表示するほか、低血糖が予測された場合にインスリンを自動で停止する機能も登場しています。

人工膵臓について

人工膵臓は、腕の静脈から連続的に採取した血液から血糖値を測定し、コンピューターで計算した量のインスリンおよびグルコースを点滴で注入する装置です。外科手術後などより精密な血糖管理をする場合や、インスリン治療が効きにくい(インスリン抵抗性)糖尿病の病態を調べるときに使われます。人工膵臓を用いれば管理の難しい糖尿病においても目標の血糖値に調整することが可能となります。
この人工膵臓は認可をうけた専門施設でのみ行なわれ、現在のところ県内では当院のみ使用している状況です。

あおい会(糖尿病患者会)

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