当科は、糖尿病・内分泌・代謝を標榜しており、診療分野は糖尿病、甲状腺疾患、視床下部・下垂体疾患、副腎疾患、膵内分泌腫瘍、カルシウム代謝異常、肥満症、メタボリック症候群と多岐にわたります。
糖尿病においては、1型糖尿病やインスリン持続注入ポンプ療法(SAP)、妊娠糖尿病の血糖管理、人工膵臓を用いた周術期血糖管理を含め、専門性の高い診療を行っています。また、下垂体疾患、甲状腺疾患、肥満症、骨代謝疾患については専門外来を開設しています。
和歌山県立医科大学第一内科(糖尿病・代謝内分泌内科)は、通常の糖尿病外来・入院に加え毎週月曜日の午後に糖尿病地域連携外来を設けております。二人主治医制で、半年毎に「専門看護師による糖尿病療養指導」「栄養指導」「合併症チェック」「特殊検査」などを行うことで先生方の診療のお役に立てればと考えています。もし、糖尿病診療でお困りの症例がございましたなら遠慮なくご相談下さい。
「かかりつけ医」の先生方から「専門医」への紹介が推奨される基準に関しては、下記の基準をご参照ください。
糖尿病の診療においては、糖尿病性腎症の悪化による血液透析者数の増加も問題となっており、腎機能障害を有する場合もご紹介いただければ幸いです。
必要な場合は、大学内において腎臓内科へさらに院内紹介するなど対応させていただきます。
当科ではこれまでにも糖尿病の血糖管理のための自己血糖測定器に加えて連続グルコースモニタリング(CGM)を使用してきましたが、新たな世代の測定器「フラッシュグルコースモニタリングシステム(FGM)」を導入し、活用を積極的に進めています。 この測定器により、14日間の血糖値を連続的な測定ができ、読み取り機をかざすことでリアルタイムに血糖値の確認ができます。これにより指先穿刺による血糖測定のみでは十分評価できなかった食後高血糖、夜間を含めた低血糖の有無を知ることができます。
持続皮下インスリン注入療法(CSII)は、小型の機器を使って持続的にインスリンを皮下注入して血糖コントロールを行う治療法です。この機器をインスリンポンプと言い、皮下に留置したカニューレを通して自動的にインスリンが注入されます。一般的なペン型インスリンに比べて食事の内容や時間帯にあわせたきめ細かい血糖管理が可能です。
最近では持続的な血糖値測定(CGM)機能を搭載したインスリンポンプ療法が登場し、この治療法SAP(Sensor Augmented Insulin Pump)療法といいます。インスリンポンプとCGMを同時に装着し連続的な血糖値を画面に表示するほか、低血糖が予測された場合にインスリンを自動で停止する機能も登場しています。
人工膵臓は、腕の静脈から連続的に採取した血液から血糖値を測定し、コンピューターで計算した量のインスリンおよびグルコースを点滴で注入する装置です。外科手術後などより精密な血糖管理をする場合や、インスリン治療が効きにくい(インスリン抵抗性)糖尿病の病態を調べるときに使われます。人工膵臓を用いれば管理の難しい糖尿病においても目標の血糖値に調整することが可能となります。
この人工膵臓は認可をうけた専門施設でのみ行なわれ、現在のところ県内では当院のみ使用している状況です。